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第55回目

第55回「ウレタン」について

今回はウレタンについて説明します。
ウレタンと言う言葉はよく聞きますが、ウレタンとはなにかと言われると説明が難しいと思います。
それではウレタンについて簡単に説明いたします。

(1)<ポリウレタン製品の分類>
まず最初にウレタン製品とはどのようなものに使用されているのかを説明いたします。
ポリウレタンは大きく分けて発泡体(フォームと言われる)と非発泡体(ソリッドと言われる)の2つに分けられます。
消費量としては、発砲(フォーム)の方が7割で圧倒的に多いです。

ポリウレタン製品 発泡体(フォーム) 軟質フォーム(ソファー等のスポンジクッション)
    硬質フォーム(冷蔵庫等の断熱材)
    半硬質フォーム
       
  非発泡体(ソリッド) エラストマー(ゴム製品)
      合成皮革(レザー)
      塗料(ウレタン塗料)
      接着剤(ウレタン接着剤)
      ウレタン繊維
  スパンデックス(伸縮性がある)
         

(2)<それではウレタンとはなにか>
それでは、すこし難しくなりますがウレタンとは何かについて説明いたします。
簡単にウレタンとは何かといえば、ウレタン結合をもつ化合物の総称です。
ウレタン結合はイソシアネートという化合物とポリオールという化合物の化学反応で作られます。
それでは、ウレタン結合とはどんなものでしょうか。

-N-
C-O
 
 
     
(ウレタン結合)

このような結合をウレタン結合といいます。
始めて見られた方は、なんとなく難しそうな化学式が書かれているなと感じられたと思います。

イソシアネートと言う言葉も初めて聞かれた人が多いと思います。
このイソシアネートという物質は非常に反応しやすい物質です。

イソシアネイト(R-N=C=O)とOH結合を持つものを反応させるとウレタン結合ができます。

R-N=C=O R’-OH R-N-C=O
イソシアネート ポリオール    | |
   H O-R’
(ウレタン化合物)

反応式は上記のようになります。
このウレタン化合物はいろんな性質をもっていますが、1番の特徴は発泡(泡が出る)してスポンジ状の物質を作ることです。

(3)<ウレタンの原料の組合せ>
(2)でウレタンが出来る反応を説明いたしましたが、イソシアネートには多くの種類があります。
また、同じくポリオールにも多くの種類があります。
したがいまして、これらの組合せで出来るウレタンの種類も多くあります。
ポリウレタンは、ジイソシアネート類とポリオールとの重付加反応によるものです。
逆に言えば、組合せが多種類あることにより、いろいろな性質のウレタンが出来、ウレタンを使った製品が多いことの理由になります。

(4)<主原料のイソシアネートについて>
それでは、ウレタンの原料であるイソシアネートの種類について説明いたします。
イソシアネートは分子中に、-N=C=0の構造を持つものの総称です。
代表的なイソシアネート化合物を簡単に紹介いたします。
これらは重合して鎖状になりますので、いづれも、イソシアネート基(--N=C=0)を1つの分子の中に2個持っています。

それでは代表的なイソシアネートの説明をいたします。

(1)TDI<ティジィアイ>(トリレンジイソシアネート)

ウレタンの製造にもっとも大量に使用されています。

2,6-TDIの構造式

 

(2)MDI<エムディアイ>(ジフェニルメタンジイソシアネート)

エラストマー(ゴム)、合成皮革、弾性繊維(スパンデックス)の原料として用いられています。

MDIの構造式

 

(3)NDI<エヌディアイ>(1,5-ナフタレンジイソシアネート)

ナフタレン核を持つ芳香族系のイソシアネートです。
主に、注型用ウレタンエラストマーの原料です。
機械物性、耐熱性、耐油性、耐摩耗性に優れています。
高価であるが、自動車のショックアブソーバーや衝撃、振動吸収材、OA機器のローラー部に使われています。

NDIの構造式

 

(5)<もう一つの主原料のポリオールについて>
ポリウレタンのもう一つの原料のポリオールについて説明いたします。
ポリオールとは2つ以上の-OH(オーエッチ)基を持っているものの総称です。
OHとは皆さんおなじみの水(H-O-H)の片側のOHのことです。
アルコールもOH基を持っています。CH3OHはメチルアルコールです。
このポリオールは大きく分けて2に分類されます。
1つは、ポリエーテルポリオールで、もう一つはポリエステルポリオールです。
ポリエーテルポリオールの代表はポリオキシプロピレングリコール(PPG)と言われる物です。
もう1つはポリエステルポリオールです。
ポリオールの9割はポリエーテルポリオールです。

(1)ポリエーテルポリオール(PPG) 
  官能基数 官能基あたりの分子量
(A)硬質ウレタンフォーム用
3~8
60~200
(B)軟質ウレタンフォーム用
3~8
700~3000
(C)ウレタンエラストマー用
2~3
100~3000

 

(2)ポリエステルポリオール
(A)脂肪族系ポリエステルポリオー
  合成皮革、靴底用エラストマー
(B)芳香族系ポリエステルポリオール
  硬質ウレタンフォーム

(6)<その他のウレタンの原料>
ポリウレタンの製造には、主原料であるイソシアネートとポリオール以外に触媒、整泡材、発泡剤、鎖延長剤、架橋剤、難燃材などが使われます。

(1)発泡剤
発泡剤として、過去に大量に使われたCFC-11(フロンガス)はオゾン層の破壊につながるとして1995年日本、アメリカ、ヨーロッパで使用禁止になった。
最近では水や炭酸ガスが使用されている。

(7)<ポリウレタンの問題点>
ポリウレタンはその優れた性質により非常に広範囲に使用されています。
しかし、問題点がないわけではありません。
それでは問題点を整理してみます。
(問題点)
(1)原料のイソシアネートが有害である。

イソシアネートは他の化学物質と非常に反応しやすい物質である。そのため気体を吸い込んだり、肌にふれるとかぶれたりして悪影響があります。

 

(2)可燃性である。

発泡ウレタンは燃えます。火災でウレタンが燃えると延焼しやすいし、有害ガスがでます。
そのために難燃剤を用いることが多いですが、難燃剤のフッ素化合物のPBB,PBDEがローズ使用禁止になりました。
それで、PBB,PBDE以外の物質が使われるようになってきました。
コスト、性能等で新しい難燃剤が開発されつつあります。

PBB(ポリ臭化ビフェニル)
PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)
カドミウム、鉛、水銀、6価クロムとともに、ROHS(ローズ)の使用禁止物質になった。

(3)環境問題

特に使用済みウレタンのリサイクルが問題になってきています。
低コストでリサイクルする方法が研究されています。
発泡ウレタンの使用料はどんどん増えてきています。そのためリサイクルについては早急に解決する必要があります。

(8)<まとめ>
ポリウレタンは優れた性質により車、住宅、スポーツ用品、日用品、公共工事(舗道)等に広く使われています。
まだまだ用途開発が盛んに研究されて、いままで使われていなかった分野まで進出しています。
ウレタンと言う言葉はよく聞くわりには、なにかと言うことが分かりにくい物です。
その物質をみただけではウレタンということが分かりにくいからかもしれません。
逆に言えば、使う立場からはウレタンと言うことを意識する必要がないからだと言えます。
私たちの身の回りは色んなプラスチックが使われています。ポリプロピレン(PP:ピーピー)ポリエチレン、ナイロン、SBS(エイビーエス樹脂)、塩ビ等があります。その中の1つにポリウレタンがあるわけです。
自動車の座のクション、内装材、コーキング、塗料、接着剤などに多く使われています。
そのことで自動車は軽くなり燃費が向上したり、組み立て工程の短縮化に貢献しています。
ただ、性質(安全性も含む)の良く分からない物に囲まれて生活をすることに少し不安を覚えているのだと思います。
安全性(物理的、化学的)と言うことを今まで以上に意識して、豊かな生活を享受したいと思います。

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