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第62回目

第62回「チタン」について

今回はチタンについて説明します。チタンは「Ti」と言う原子記号です。
チタンは金属元素です。なんとなく高級な感じがします。
少し前までは、戦闘機などに使われていました。
また金属ではないが、Tio2として、酸化チタンとして白色顔料として使われます。

 

(1)<金属チタン>
金属チタンが発見されたのは、1795年です。
ただし、金属チタンが製造されたのが1910年にハンターと言う人が始めて生産に成功しました。
生産が軌道に乗って、生産がトン単位で生産できたのは、戦後の1948年です。
発見から生産できるまで150年ほどかかっています。

 

(2)<金属チタンの特徴>
金属チタンの特徴を説明します。チタンにはすぐれた特徴があります。
この場合なじみのある鉄との比較で話を進めます。
良く金属チタンは、鉄と比較して、
   ■軽い 鉄の約半分の軽さ
   ■強い、鉄の200Mpaなのにたいして、270MPa~750MPa
   ■表面に丈夫な酸化被膜が出来て、錆びない
とよくいわれます。 
(MPa{メガパスカル}とは、0.1kg/m㎡である)

 

(3)<チタン、鉄、銅、アルミの比較>
代表的な金属である、チタン、鉄、銅、アルミの色々な比較をしてみたいと思います。
一番なじみのある銅からみてみます。
金属の銅はどのようにして取りだすのでしょうか。銅の鉱物は硫化銅といわれます。その硫化銅を熱すると硫化銅の硫黄は酸素と結びついて金属ができます。その金属が銅です。
銅の融点は1083℃で比較的温度が低いです。
鉄の場合は、鉱物は酸化鉄です。酸化鉄は酸素との結合がつよく、より酸素との結合の強い(還元剤)を反応させなければなりません。
鉄の融点は1536℃で銅より高いです。
次にアルミですが、酸化アルミと言う鉱物からつくられます。
融点は660℃と比較的ひくいですが、結合が強いため熱だけでは金属アルミは取りだせず、もっとエネルギーの大きな電気分解が必要です。
アルミの融点は660℃です。

 

(4)<チタン>
チタンの鉱石は「ルチル」と「イルメタイト」です。
この鉱物は年間全体で400万トン生産されています。
しかし、この400万トンの内、300万トンは酸化物のまま消費されます。
この酸化物は顔料として使われます。
酸化チタンは白色顔料として塗料や化粧品として利用されます。
金属チタンになるのは、残りの100万トンです。
チタンの融点は鉄より高くて1670℃です。

 

(5)<金属チタンの利用>

戦後、チタンが発明されて実用化されたのがおもに軍事用でした。
とくに戦闘機に多くつかわれた。用途はジェットエンジン周りの部品に使われた。
次に、民間航空機に多くつかわれた。軽くて強い特徴が航空機に利用された理由です。
日本では民生用にもつかわれた。錆びない事も特徴で、化学プラントなどの反応釜にも使用された。
それ以外にもメガネのフレームや、ゴルフのドライバーのヘッドにも利用された。
数として、ドライバーのヘッドに160万個~170万個が使われてるそうです。
そして、腕時計のケースやバンドにも使用されている。
そして錆びないことから、屋根材や看板などにも利用されています。


(チタン製の時計)

 

(6)<金属チタンの強度>
金属の強度を表すのには、MPa の単位が使われます。
これは、いままでは㎏/c㎡やkg/m㎡の単位が多く使われていました。SI単位としてMpaが最近では多くつかわれます。
MPaは(メガパスカル)と読みます。Mは接頭語で1000000を表します。キロの1000倍です。
1MPa(1メガパスカル)=10Kg/c㎡=0.1kg/m㎡です。

(強度) (強度)
純チタン 270~750MPa 27~75kg/m㎡
α合金 862MPa 86.2kg/m㎡
α-β合金 686~1270MPa 68.6~127kg/m㎡
β合金 1220~1471MPa 122~147.1kg/m㎡
200MPa 20kg/m㎡
(α合金、α-β合金、β合金はチタン合金)

この純チタン270MPa(27kg/m㎡)はどのくらいの強度なのでしょうか。
この金属チタンで針がねを作ったとします。縦横1mmかくとします。
こうすると、断面積が1m㎡となります。
この針がねを天井からつるします。

1mmかくのはりがねで27kgの重りが支えられます。
β合金だったら、1mmかくの針がねで122kg支えられることになります。
これがただの鉄だったら、1mmかくの針がねで20kgしか支えることができません。
しかも、鉄は比重が7.9ですのでチタンの4.5より2倍ほど重たいことになります。

 

(7)<チタンの名前の由来>
チタンの名前の由来は、チタンの鉱物のルチル鉱石を見つけた時、これの名前をギリシャ神話の巨人のタイタンにちなんでチタン(Titan)と名づけました。
チタンという名前はタイタンからきた名前です。
錆びず、軽くて、鉄より強いチタンにはぴったりの名前です。

 

(8)<まとめ>
チタンについて簡単にまとめてみました。
これからはチタンの時代だとおもいます。錆びずにいつまでも輝いて、鉄より軽く、鉄より強い金属はチタンしかないとおもいます。
ただ金属にするために鉄とは違った難しさがあります。
宇宙時代には今よりもっと使われるようになるとおもいます。
生体反応もよく、人骨の変わりに使われています。もっと安く大量に使われる時代が来ると思います。

 

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