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第68回目

第68回「EN71-3の規制物質増える」

 

最近(2013年7月)から、欧州の玩具(おもちゃ)の内容が大幅に変わりました。
規制の対象元素が8種類から、18種類にふえました。 今回は、この内容につきまして説明いたします。

 

(1)<EN71-3(イイエヌ・ナナジュウイチのサン)とはなにか。>
まず、EN71とは何かから説明いたします。
ENとは、European Norm(Europea Standard:欧州規格)の略称です。
その規格の71ということです。
EN規格には、おもちゃ以外に、定電圧製品、機械製品、医療機械という規格が、16種類ほどあります。
今回のEN71の規格は、EN71の中が分かれていて、EN71の1から11まであります。EN71-3(イーエヌナナジュウのサン)は、おもちゃの有害金属 の溶出(溶け出る恐れ)を規制する規格です。

 

(2)<EN71-3の対象範囲について>
EN71-3は、もともと14才未満の子供のおもちゃの規格ですが、いろいろな物に拡大されて使われています。
たとえば、アクセサリーとか自動車の内装材にも使われています。
文具製品なども、人の口に入る恐れが有るものにも使われています。
人の口に入る恐れのあるもの全般の規格として使われています。

 

(3)<改正内容について>
1995年の規格では、アンチモン、ヒ素、バリウム、カドミウム、鉛、水銀、クロム、セレンの8元素だけであったが、2013年(平成25年)の7月より17元素18項目に広がった。
旧規格と新規格の規制対象について、簡単に列記します。

(旧) (新)
1 アンチモン   1 アンチモン
2 ヒ素 2 ヒ素
3 バリウム   3 バリウム
4 カドミウム   4 カドミウム
5 5
6 水銀 6 水銀
7 セレン 7 セレン
8 クロム 8 6価クロム
9 3価クロム
10 ホウ素
11 コバルト
12 マンガン
13 ストロンチウム
14 スズ(有機スズ)
15 スズ(無機スズ)
16 亜鉛
17
18 アルミニウム

このように、新規格は旧規格にたされる形でふえています。
このように、時代とともにますます増える傾向にあります。

 

(4)<含有(ガンユウ)と溶質(ヨウシュツ)の説明>
ここで、含有規制と溶質規制について説明いたします。
有害物質の規格には、含有(がんゆう:その中に含まれる)と溶質(ようしつ:人が食べて胃の中で溶けだす)の2つがあります。
含有の規制は、外部に放置される製品に適用されます。
一方、人が口に入れる恐れのあるものは、溶質の規格になります。
今回のEN71-3は溶質の規格なので、含有していても、溶質しなければ大丈夫ということです。
試験では、胃液に相当する液にとかして調べます。

(5)<EN71-3の基準の説明>
それでは、EN71-3の基準について説明いたします。
おもちゃと言いましても、いろいろな材料でできています。
大まかに、種類ごとに規格が決まっています。

(区分:基準値がかわります)
商品(おもちゃ)の材料種類
基準値
1 塗料  
 
2 ポリマー  
 
3  
 
4 織物  
 
5 ガラス、セラミックス、金属  
 
6 木材、ハードボード  
 
7 固形の絵の具
 
 
8 粘土、石膏
 
 
9 ワニス、ラッカー  
 
10 ステック糊  
 

 

(6)<EN71-3の基準値について>

(mg/Kg :ppm)
   
基準値
1 アンチモン 45 11.3 560
2 ヒ素 3.8 0.9 560
3 バリウム 1500 375 18750
4 カドミウム 1.3 0.3 17
5 13.5 3.4 160
6 水銀 7.5 1.9 94
7 セレン 37.5 9.4 460
8 6価クロム 0.02 0.005 0.2
9 3価クロム 37.5 9.4 460
10 ホウ素 1200 300 15000
11 コバルト 10.5 2.6 130
12 マンガン 1200 300 15000
13 ストロンチウム 4500 1125 36000
14 スズ(有機スズ) 0.9 0.2 12
15 スズ(無機スズ) 15000 3750 180000
16 亜鉛 3750 938 46000
17 622.5 156 7700
18 アルミニウム 5625 1406 70000

この基準値が小さいほど、その金属の有害性が高いと思われます。

 

(7)<まとめ>
色いろな製品の有害物質の規制の代表的なEN71-3について説明しました。
もっとも弱い子供のおもちゃの規制ですが、おもちゃに限らず、人が誤って口に入るものは、すべてにこの規格の基準に合致するようにした方が望ましいとおもいます。
分析費用はかかりますが、出来るだけ有害な物は含まないように工夫するようにした方がいいと思います。

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