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第11回目

第11回「RoHS(ローズ)」について

◆今回は、ヨーロッパで施行される環境規制で、非常に関心を集めているRoHS(ローズと読みます)について、説明させてもらいます。

RoHS(ローズ)

まず、RoHS(ローズ)の言葉の意味から説明させてもらいます。
RoHS(ローズ)は「電機電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令」の事です。
英語では、以下のようになります。
estriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」
この英語の頭文字を取って、RoHS(ローズ)と言っています。
英語の単語を説明しますと次のようになります。

Restriction of use  :  使用制限
certain Hazardous Subusutances  :  特定有害物質
electronic equipment  :  電機電子機器

EU(欧州連合)が、環境の汚染を防ぐために決めた規制です。

それでは、内容についてもう少し具体的に内容を説明いたします。
まず、対象有害物質とはどのような物でしょうか。

<対象有害物質>(含有基準)

  電機、電子製品に含有してはいけない物質は、以下の6物質です
*カドミウム (Cd)    
*鉛 (Pb)    
*水銀 (Hg)    
*6価クロム (Cr6+)    
*PBB (ポリ臭化ビフェニル)  :  樹脂の難燃材
*PBDE (ポリ臭化ジフェニルエーテル)  :  樹脂の難燃材
(注)クロムは6価と3価があり、6価のほうが毒性が強いので、6価のみが対象になっている。
それでは、この規制はいつから実施されるのでしょうか。

<実施時期>

2006年7月1日以降EU内で上市する製品については、上記の6物質を含有してはいけない事になります。

この規制は製品の中に含有してはいけない規制です。玩具の規格のBS EN71-3の溶出基準とは違います。
エコマークの有害基準(No.112 文具・事務用品)も少しあいまいな所がありますが、基本的には溶出基準です。
(溶出基準とは有害物質を含んでいても、特定の溶媒に溶出した分だけ分析して、その量が基準内であればよいものです) したがって、含有の基準より甘くなります。

しかし、今後の方向としては、すべての基準が含有に移行しようとしています。

参考に、エコマークの基準になっているBS EN71-3について説明いたします。

<エコマークの有害物質の基準>(溶出基準)

BS EN71-3の基準 (8物質です
アンチモン (Sb)
60ppm
ヒ素 (As)
25ppm
バリウム (Ba)
1000ppm
カドミウム (Cd)
75ppm
クロム (Cr)
60ppm
(Pb)
90ppm
水銀 (Hg)
60ppm
セレン (Se)
500ppm
これは、溶出(特定の液体に溶け出た分の分析値)の基準です。
しかし、含有がこれ以下であれば当然基準に合致します。

つぎに、含有しない最低濃度について説明いたします。

<RoHSの含有しない最低濃度>

含有してない事と言っても、まったくゼロということは実際問題ありえません。
最近は分析精度が上がってきており、ゼロと言う事はありません。
水道水にもいろんな物質が入っていますし、空気中にも微細なごみが浮遊しています。

そこで、下限値として、今のところ次の値とされてます。
*カドミウム (Cd)  
100ppm
*鉛 (Pb)  
1000ppm
*水銀 (Hg)  
1000ppm
*6価クロム (Cr6+)  
1000ppm
*PBB (ポリ臭化ビフェニル) :樹脂の難燃材
1000ppm
*PBDE (ポリ臭化ジフェニルエーテル) :樹脂の難燃材
1000ppm
(ppm:百万分の1の単位)

これは、自動車の廃車の基準とされている、ELV(End of Life ehicles)の基準にあわそうとしているためです。

今回のRoHSの対象製品はどのような物でしょうか

<対象範囲>
RoHSで規制されているのは電機、電子製品です。しかし、日本の家電メーカーでは製品本体だけでなく、包装、取扱い説明書なども含めて対策を取っています。

最後に、今回の有害物質の分析機器につきまして、少し説明いたします。

<測定機器>
実際にこのような微量な物質をどのようにして分析するのでしょうか。また、製品の部材ごとに分析する必要があるので、試料数が膨大な数になります。
したがって、費用と時間がかかるので、なるだけ簡単に分析できて、なおかつ精度の良い分析機が必要とされます。

今のところは、精度から言えばICP(アイシーピー)発光分析機があります。
これは、精度が非常に高いのですが、分析をするのに試料を液体にする必要がある事(前処理と言います)、成分ごとに分析する必要があります。
そのため、費用と時間がかかります。

それで、効率を考えて蛍光X線分析機を使用する場合が多いです。これはRoHSの6物質を同時に測定でき(注)、前処理も固体のまま分析できます。いままでは、精度が低かったが、かなり改良されてきています。
(注)6物質同時ですが、6価クロムはクロムとして分析します。また臭素化合物も臭素として分析します。

以上、簡単にRoHS(ローズ)について説明させてもらいました。
家電業界では、すでに数年前から対策を行い、今では対策が終了しつつあります。

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