トップ>KTRニュース>第110回「ポリマーアロイ」について
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アロイ(alloy)とは合金と言うことです。
ポリマーアロイは、しばらく前まではポリマーブレンドと言っていました。
ポリマーアロイとは、複数のポリマー(高分子、樹脂)を混合する事で新しい特性(性質)を持たせた高分子の事です。
複数の金属から合金を作ることになぞらえてポリマーアロイと呼ばれています。
(1) ポリマーアロイを作る目的
ポリスチレン(PS)は硬くて美しいですが柔軟性に欠けます。
またポリブタジエン(PB:ゴムの1種)は柔らかくて弾力性に富むものの柔らかすぎて成形性に劣ります。
ポリスチレン(PS)にポリブタジエン(PB)を小量加えたポリマーアロイは耐衝撃性ポリスチレン(HIPS:ハイインパクトポリスチレン)と呼ばれています。
これは硬くて適度な柔軟性があり、しかも艶があって美しいので大型家電製品の外装材として盛んに使われています。
(2) ポリマーアロイの問題点
単に、高分子Aと高分子Bを混ぜただけでは、両者は均一に混ざることはありません。
高分子Aだけのブロック、高分子Bだけのブロックができ、ブロックの混合体になるのです。
力が加わると、ブロックの境界から破壊が進むことになります。
そのために思った効果が出ないことがあります。
2種類のポリマーを混ぜた物
(2種類のポリマーが完全に混ざり合ってない〉
(3) コンパティビライザーについて
ポリマーアロイを作る時、両者が十分に混ざり合うように添加する物です。
コンパティビライザーの使用は非相溶性ポリマーどうしの界面を首尾よく制御、接合させて目的に応じた素材の性能を発現しようとするものです。
コンパティビライザー(相容化剤)は性質の違う異種高分子同士上手く接合し、両成分の有する性能を合わせ持つ素材設計に用いられます。
各社で盛んに研究開発が行われています。
(4) ポリマーアロイの代表例
HIPS(ハイインパクトスチロール Sスチロール、Bブタジエン)
ABS樹脂(Aアクリル、Bブタジエン、Sスチロール)
(5) 合金(アロイ)
ここで金属の合金について簡単に説明します。
・真鍮(しんちゅう);黄銅とも言われる
銅と亜鉛の合金
亜鉛が20%以上の物を真鍮と言う。・ステンレス
鉄とクロムやニッケルの合金
成分の違いにより、マルテンサイト系、フェライト系、オーステナイト系に分かれます。
ニッケル全体の消費量の内、ステンレスが1番多い。・金(18金)
金の24分の配合率で呼ばれます。
18金は18/24で金が含まれることを示します。
24金が純金です。
・ジュラルミン
アルミに銅、マグネシウムなどとの合金である。
飛行機やケースなどに使われます。
特徴としては非常に軽くて、錆びにくい。
ジュラルミンケース
(6) まとめ
多種のポリマーを組み合わせて、単一素材に無い新しい性能を出そうとするアロイ技術はますます発展しそうです。
また、プラスチックの再利用やリサイクル化に向けて利用が増えてきそうです。
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