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第66回目

第66回「エラストマー」について

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エラストマーとは、本来ゴム状の物質全体をさす言葉です。
ゴムのように、弾性がある物をさします。
しかし、最近よく言われているエラストマーは、弾性を持つ熱可塑性の物質でゴムより狭い範囲の物質をいいます。代表的な物は、次の様なものです。

 

(1)<エラストマー使用例>
文具製品にも多く使われている。エラストマーは手触りがいい。


ハサミのハンドル(青色部)部にエラストマーが使われています。

 

(2)<プラスチックとエラスチックとの違い>
プラスチックは普通に使っているいわゆるプラスチックのことです。
一方エラスチックはプラスチックに対する言葉です。
プラスチックとエラスチックはどのようにちがうのでしょうか。
プラスチックは日本語では可塑性(粘度のように変形する)といわれます。
可塑性とは力を加えると力に応じて変形する物をいいます。
これに対して、エラスチックは日本語では弾性と言われます。代表はゴムのようなもので、力を取り除くと元の形に戻る物をいいます。
通常、プラスチックと言われる物も、熱を加えて溶けた状態にしないと塑性性(ネンド状)を示しません。

 

(3)<エラストマーの性質>
ゴムのように弾性を示す物をエラストマーといいます。
最近、流行りのエラストマーとどのように違うのでしょうか。
広義(こうぎ)のエラストマーと狭義(きょうぎ)のエラストマーがあります。
最近よく言われるエラストマーは狭義のエラストマーの事です。
狭義のエラストマーはTPEと言います。
TPEとは(hermolastic elastomer)と言います。
それでは、広義のエラストマー(いわゆるゴム)と狭義のエラストマー(TPE)とどのように違うのでしょうか。

 

(4)広義(こうぎ)のエラストマーと狭義(きょうぎ)のエラストマーとの違い
狭義のエラストマー(TPE)とはどの様なものでしょうか。
簡単に言うと、プラスチックとゴム弾性を兼ね備えた樹脂の事です。


広義のエラストマー(ゴム)との違い
(1)射出成型の機械で作ることができる。
  ゴムのように架橋させる必要がない。
成型時間が短い。
架橋(かきょう):分子の原子を共有結合で結びつけること
ゴムのように架橋させる必要がない場合は
硫黄で結びつけるので、特別に加硫という
   
(2)弾性率や硬度がプラスチックとゴムの間で作ることができる。
   
(3)架橋していないので、再生可能である。
  架橋(加硫)すると熱硬化性樹脂と同じようになり、
熱で溶かすことが出来ないので、再生できない。
   
(4)架橋促進剤、促進助剤などを使わないので、自由に色をつけられる。
   
以上のような特徴があるので応用範囲が広いです。

 

(5)<狭義のエラストマー(TPE)>
熱可塑性エラストマーは、加硫(加硫:3次元架橋)を必要としないで、室温ではゴム弾性をしめします。
これは、エラストマーの中に樹脂成分(硬質ブロック)とゴム成分(軟質ブロック)から出来ていて、室温ではゴムの性質を表し、温度が高く(成型温度)になれば硬質ブロックが軟らかくなるため、成型出来るようになります。
ゴムの場合は加硫(3次元構造)しているため、熱硬化性樹脂と同じで温度をあげても軟らかくなりません。

 

(6)<エラストマーの種類>
熱可塑性エラストマーにも色んな種類があります。
材料の違いにより、つぎのような種類があります。

スチレン系
オレフィン系
PVC系
ウレタン系
エステル系
アミド系

(7)<熱可塑性エラストマーの代表>
熱可塑性エラストマーの代表は、スチレンーブタジエンースチレン(SBS)と言われるものである。
これは、1つの分子の中にスチレン部分とブタジエン部(ゴム質)分の両方が存在して、1つのエラストマーの分子ができている。

 

(8)<まとめ>
最近のプラスチック製品には、色んな樹脂が使われています。
文具関係の商品をみると手触りの良いエラストマーが数多く使われています。
ゴムだと黒色で再生できないとか、成型に時間がかかるとか、形が自由にできないとか制限が多かった。
最近は非常に色がきれいし、形も色んな物が表れてきています。
また、これらは再生できる素材でできている。
文具以外にはスポーツ用品にも数多く使われています。
これ以外にも、医薬品にも色々と使われています。注射器とかサポーターにも使われています。
新しい素材が出れば、それらを使った新しい製品が出てきて、私たちの生活を豊かにしてくれます。

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