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第113回目

第113回「濡(ぬ)れ性(せい)」について

今回は濡(ぬ)れ性(せい)について書きたいと思います。
接着しようと思った時、貼る相手に糊が濡れないと、うまく貼れません。
粘着テープを貼る場合も、貼る相手に粘着剤が弾(はじ)くようであればうまく貼れません。
したがって、貼る時には相手に濡れることが大事になってきます。

 

(1) 水に濡(ぬ)れるとはどういうことか

濡れ性(ぬれせい)とはどういうことでしょうか。
糊は、紙などに貼る場合に使います。
紙以外の物に貼る場合は接着剤と言われる物を使います。
糊の場合は、主成分がポリビニールアルコールと言って、水を使っています。
水と表面張力が似ている物(紙など)には引っ付きます。
これは、水は他の液体に比べて表面張力が高くなっています。
プラスチックはおおむね表面張力が小さいです。
そのため、糊ではプラスチックは引っ付きません。
溶剤(有機溶剤)が主成分の接着剤では引っ付きます。

 

(2) 引っ付くためには

糊とか、粘着剤が付くためには、糊や粘着剤が、貼る物に濡れるかどうかが重要になってきます。
これを見るための1つの指標として、糊や接着剤や粘着剤と、貼る相手の表面張力の値があります。
糊や粘着剤の表面張力と貼る相手の物質の表面張力の値が離れていると引っ付か無いと考えられます。
液体の場合は、貼る相手に糊や接着剤を垂らして、それの広がりぐあいを見ればわかります。
広く広がれば、貼る相手と表面張力が近いので引っ付くと思われます。

 

(3) 水と溶剤の表面張力

水は液体の中でも表面張力が大きい物です。
水の場合はまとまろうとする力が強いです。
水だけではシャボン玉は作れませんが、石鹸水にして表面張力を低くするとシャボン玉にすることができます。
糊は水に溶かした物です。


(シャボン玉の代わり)


(液滴(糊→接着剤)と貼る相手)
表面張力が大きいほど液滴は盛り上がる
個体と液滴との表面張力が近いと液滴は広がる

 

(4) 接着剤の溶剤の表面張力

接着剤を溶かしている物(溶剤)の表面張力は水より小さいです。
下に表にします。

  液体 表面張力(mN/m)
溶剤 アセトン 23
エチルアルコール 22
ヘキサン 18
メタノール 22
ベンゼン 29
  72

(注)mN/mはミリニュートン/メートルで表面張力の単位
Nは力の単位でニュートン(N)で約102g(グラム)である。

 

 

(5) プラスチックの表面張力

貼る相手の表面張力はどれぐらいでしょうか
下に貼る相手のプラスチックの表面張力を上げときます。

プラスチック 表面張力(mN/m)
メタクリレート 39
ポリスチレン 43
ポリエチレン 31
シリコン 23
テフロン 19
塩ビ 39
ナイロン 48
ペット 44
55以上

 

(6) まとめ

物質の表面張力は非常に小さな力ですが、これが物を付ける場合は重要な働きを示します。
粘着剤や糊が相手に濡れないと上手く引っ付きません。
見かけ上引っ付いているように見えても、後で剥がれてきたりします。
表面張力以外に、貼る相手の表面の凸凹とか貼る時の圧力なんかも影響します。
また、張る相手が汚れているとかも影響します。

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