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第14回目

第14回「アクリル」について

◆今回のテーマは、「アクリル」について簡単にまとめてみました。

アクリル(acryl)


アクリルと言う言葉はよく聞いたり、喋ったりすることがあると思います。
ただ、あらたまって「アクリル」とは何かと言われるとなかなか説明しにくいと思います。
アクリルと聞いて思い浮かべるのは、
  1. 透明樹脂のアクリル
  2. 塗料のアクリル
  3. 接着剤(粘着剤も含む)のアクリル
  4. 繊維のアクリル
この4つが代表的だと思います。

すべて、アクリルと呼ばれていますが、これらは同じものでしょうか。それともたまたま、同じようにアクリルと呼ばれているのでしょうか。
そもそも、アクリルとは何をさすのでしょうか。

何となく、アクリルと言われると少し高級感を感じます。

では、アクリルとは何かから説明させてもらいます。

<アクリルとは何か>
化学構造式というのがあります。その物質の原子がどのように結びついているのかを示している式です。
皆さんよくご存知の水は H-O-H で現わされます。水素(H)が2個と酸素(O)が1個結びついたものです。
このように、化学物質はすべて、化学構造式で表すことができます。

アクリルとは、この化学構造式で表すと次のようになります。

H
H
C
C
H
C
O

これを、アクリル基といいます。
化学構造式の中に、このアクリル基を含んでいる化合物の総称がアクリルと言われるものです。

C=Oの下の|(手)の下にはいろいろな物が付きます。
一番単純なものは、「H」です。次に「CH3」、「C2H5」などが付きそれぞれ性質が変わってきます。
OHが付くと、アクリル酸になります。また、CH3とかC2H5とかが付くとアクリル酸エステルになります。

通常は、上のアクリル基のC=Cの2重結合のところで、付加重合をして、高分子(プラスチック)になっています。

H
H
H
H
H
H
H
C
C
C
C
C
C
C
H
C
O
H
C
O
H
C
O
H

<ちょっとした化学構造式の説明>
ここで、ちょっと寄り道して少しだけ化学構造式について説明します。
上の例を見ていただくと分かりますが、
    H(水素)は腕が1本です。(|)
    O(酸素)は腕が2本です。
    C(炭素)は腕が4本です。
  =は二重結合と言われるもので、2本の腕です。

それでは、プラスチックや、塗料、接着剤、繊維のそれぞれの「アクリル」について説明いたします。

<プラスチックのアクリル>
プラスチックのアクリルは、正式にはメタクリル酸メチル(メチルアクリル酸メチル)と言われるものです。

H
CH3
C
C
H
C
O
   
CH3
   

化学構造式は上のようになります。CH3はメチル基といいます。
2重結合の右側のC(炭素)の上にCH3が付き、C=Oの下にもCH3が付きます。この事によりこれから出来たプラスチックは非常に硬くなります。

<塗料や接着剤のアクリル>
塗料や接着剤は、アクリル酸エステルが使われることが多いです。

H
H
C
C
H
C
O
   
CH3
   


プラスチックのアクリルと違うところは、2重結合の右側のC(炭素)の上にH(水素)が付いていることです。
プラスチックのアクリルに比べて分子量(分子を構成している原子量の合計)が少ないことが、凝集力(分子が固まる力)が弱い原因の一つです。
そのためプラスチックのメタクリル酸メチルに比べて柔らかいものになります。

  プラスチックのアクリルの分子量      84
  塗料・接着剤のアクリルの分子量      70

<繊維のアクリル安全係数の定義>
これは、プラスチックのアクリルや樹脂・接着剤のアクリルと違ってアクリルニトリルと言われるものです。

H
H
C
C
H
CN

は三重結合と言われるもので、N(窒素)は腕が3本です。
アクリルニトリルは透明ではなく、非常に丈夫で硬いものです。また樹脂は結晶性です。(不透明です)
ABS樹脂のAはこのアクリルニトリルです。Bはブタジエン(ゴム)、Sはスチレンです。

<アクリルと呼ばれる理由>
アクリルの原料は他の樹脂に比べると高価なため、少しでもアクリル基が入っていると、ユーザーに対して良い印象を与えるので、すべてアクリルと呼んでいるように思われます。
アクリルは基本的に耐候性が良いとか、樹脂の場合は透明性が高く高級感があります。

化学構造式から、その樹脂の物性がほぼ決まります。したがって、その樹脂の化学構造式が非常に重要になってきます。
それで、樹脂の中に入っている代表的な化学式(アクリル基等)で樹脂を種類分けしています。

代表的な物に、オレフイン系(ポリエチレン、ポリプロピレン)、スチレン系(スチロール、ABS樹脂)などがあります。

以上簡単に「アクリル」について説明させてもらいました。
今回は分かりやすく説明するために、少し単純化していますので、専門的には少し違っているところがある恐れもあります。その点はご了承ください。

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