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◆第3回目は促進試験についてです。
促進試験促進試験は、商品の在庫中および使用時の数年間における品質の劣化を、短時間で評価する試験のことです。 |
商品は作ってすぐに売れれば良いのですが、いろんな事情から数年間在庫する場合があります。商品を在庫する倉庫はほとんど空調されておりませんので、夏は非常に暑く、冬は逆に非常に寒いです。また、日中と夜間では気温がかなり違います。さらに、地域差があり、北海道と沖縄では気候がかなり違います。
このように、在庫中に商品はかなり過酷な温度変化にさらされます。商品を作った時は良品でも、経時変化(けいじへんか)により、在庫中に不良になる事があります。
この、経時変化(時間の経過)による劣化を短時間で調べるのが、促進試験です。
商品の劣化の主な原因は、温度、湿度、光等です。特殊な例としては車の排気ガスなどがあります。
☆それでは、促進試験での重要な点はなんでしょうか。
それは次の3点と言われています。
1.促進性(短時間で評価ができる) | ; | 何年間の期間を数週間で評価する |
2.再現性(いつも同じ結果がでる) | ; | 試験の基本条件です |
3.相関性(実際と同じ結果である) | ; | 促進試験の結果と、在庫中及び使用状態での劣化と同じ結果がでる |
しかし、以上の3つの条件を満たす試験方法はなかなか難しいのが現状です。 |
☆その中で、一般的によく知られているものにアレニウス(Arrhennius)のモデルがあります。
(アレニウスは人の名前で、最後に概略説明)
これは、温度に関する促進試験に適応されます。
内容は「10℃の温度上昇で劣化の速度が2倍になる」と言うものです。
これを実際の促進試験で考えてみます。
よく促進試験として行われるものとして、60℃で1週間商品を入れる試験があります。
この場合の促進性はどのぐらいあるでしょうか。
条件を簡単にするために、標準状態を20℃と仮定します。
60℃は標準の20℃の温度より40℃高いので、10℃ごとに2倍になりますので、促進性は
2倍×2倍×2倍×2倍=16倍
になります。
そうすると、60℃、1週間は20℃、16週間(約4か月)に相当すると考えられます。したがいまして、3年間の在庫を考えると60℃で9週間の試験が必要になってきます。
(3年間の在庫確認が9週間の促進試験に短縮される)
☆それでは、なぜ10℃の温度上昇で、劣化の速度が2倍になるのでしょうか
<ここで、少し理論的な説明をします。>
物の劣化は基本的には化学反応と考えられます。
たとえば、メッキ製品のさびは金属と空気中の酸素が水を媒体して結合したものです。
また、ゴムなどの劣化も空気中の酸素による化学反応と考えられます。
それでは、化学反応の速さはなにによって決まるのでしょうか。
単純に考えて、化学反応は分子同士のぶつかりにより起こると考えられます。
そうすると、このぶつかりあいは温度が高くなるほどぶつかる分子の数が増えると考えられます。
(温度とは、分子の運動量大きさをあらわしています。)
したがって、温度が上がるほど反応は早くなると言えます。
この考えかたを式にあらわしたのが、アウレニウスの式です。
K;反応速度 A;反応定数 e ;自然対数の底
E;見かけの活性化エネルギ R;ガス定数 T;絶対温度
式は非常に難しいですが、結論を言えば、温度(T)が10℃あがると化学反応(K)は2倍早くなると言うものです。
さらにもう10℃あがるともとの温度の時の4倍早くなると考えられます。
ここで、60℃で9週間も試験するのが長すぎるので、もう10℃上げて70℃で4週間半の試験のほうが良いのではないかと考えられると思います。
しかし、あんまり温度を上げすぎると商品自身がその温度に耐えられなくなり変形その他の影響が出て、相関性が無くなる恐れがでてきます。
樹脂製品は耐熱温度が高くないので、通常は高くても60℃が上限になります。
以上、簡単に促進試験についてまとめさせてもらいました。
(説明を簡単にするために、少し略したところがあります。)
これはあくまで、温度に限った簡単な促進試験について説明したものです。
本来的には、実際の放置試験と促進試験を同時に行って、その相関性や促進性を確認する必要があります。
アレニウス(Arrhenius Savante August)
アレニウスはスエーデンの化学者で、1859年ウプサラで生まれ、1927年ストックホルムで亡くなった。幼いときから神童ぶりを発揮し、3歳の時から書物を読んだと言います。
ウプサラ大学を卒業する。
1889年、化学反応の速度が温度とともに上昇するメカニズムを明らかにする。
1903年ノーベル賞を与えられる。
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