トップ>KTRニュース>第40回「化学物質の安全性調査」について
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(1)<はじめに>
化学物質の安全性を調べたい場合はどのようにされているでしょうか。
たとえば、化粧品の容器には色々な成分が書かれています。そこに書かれている物質はどのようなものか調べたい時があると思います。
一番気になるのが、安全性だと思います。毒性はないのか、有害性はないのか。また、皮膚に対しての影響も確認したいと思います。
簡単に調べるには、「Wikipedia(ウイキペディア)」だと思います。
(「Wikipedia(ウイキペディア)」はインターネット上の百科事典です。無料で誰でも調べることができます。)
ウイキペディアで、そこに書いてある化学物質名を入力して、その化学物質がなにかを調べることができます。
ウイキペディアには、かなり詳しく載っています。
しかし、その化学物質が法律の規制や安全性がすべて載っているわけではありません。
一番確実で詳しく載っているのは次に説明するNITE(ナイト)の化学物質の検索です。
(2)<NITE(ナイト)について>
まず、NITE(ナイト)について説明いたします。 NITE(ナイト)は、日本語名では製品評価技術基盤機構と言います。 英語では National Insutitute of Technology and Evaluation です。 頭文字を取って、NITE(ナイト)と呼ばれます。 |
|||
National Insutitute of Technology and Evaluation |
国の 組織 技術 評価 |
||
経済産業省の所管で、特定独立行政法人です。 職員は国家公務員です。常勤職員数は約400人です。 ここの仕事は大きく4つにわかれます。 |
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A.バイオテクノロジー分野 | |||
B.化学物質管理分野 | |||
(1)化学物質総合情報提供システム(CHRIP) (2)化学物質管理関連情報 (3)化学物質のリスク評価 (4)化管法関連業務 (5)化審法関連業務 (6)標準物質関連業務 |
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C.適合性認定分野 | |||
(1)MLAP | |||
特定計量証明事業者認定制度 | |||
(2)JCSS | |||
校正事業者登録制度 | |||
(3)JNLA | |||
JIS法に基づく試験事業者登録制度 | |||
(4)ASNITE | |||
・校正機関事業者 ・試験事業者 ・標準物質生産者 ・製品認証機関 |
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(5)Rminfo | |||
標準物質 | |||
D.生活安全分野 | |||
(1)標準化の推進 (2)電気工事士講習、ガス工事監督者講習 |
|||
以上のように、幅広く活動を行っています。 |
(3)<化学物質総合情報提供システム(CHRIP)>
NITE(ナイト)の中の化学物質管理の中にある物です。
費用は無料で、誰でも利用できます。
では、このシステムの使い方を説明いたします。
まず、インターネットで「NITE」と打って、「NITE]を開きます。
次に、その中の「化学物質総合情報」をクリックします。
そうしますと、「化学物質管理分野」の画面が開きます。
さらに、その中の化学物質総合情報システム(CHRIP)を開きます。
そうしますと、その中の「免責事項」に同意した上で「CHRIPを利用する」をクリックします。
クリックしますと、「化学物質総合検索システム」が開きます。
その画面の「総合検索」をクリックします。
そうしますと、検索条件入力の画面になります。
したのような、欄が表れます。
|
左側の枠の中にCAS(キャス)番号を入れます。その時、右側の枠の中にCAS番号と入っていることを確認します。
CAS(キャス)番号については、KTRニュースの第36回「CAS(キャス)」番号を見てください。
これを分かりやすく書きますと次のようになります。
|
以上が全体の流れです。
(4)<(例題)エチールアルコールの有害性>
例題としまして、皆さんがよくご存じのエタノール(エチルアルコール)を上の検索で調べてみます。
4.の「検索条件入力画面」から始めます。
上の左側の枠に、エチールアルコールのCAS番号の 「64-17-5」を入力します。
そして、右下にある「検索実行」をクリックします。
そうしますと、「中間検索結果」の画面が表れます。
NO. |
CAS番号 |
官報公示 整理番号 |
EC番号 |
物質名称 |
[1] |
64-17-5 |
2-202 |
200-578-6 |
エタノール |
ここで、上の表の[1]をクリックします。
そうしますと、検索結果画面が開きます。
その画面の上の右側の「一括表示」をクリックします。
そうしますと、一覧表が表示されます。
(5)<一覧表についての説明>
次に、出力結果の一覧表について説明いたします。
一覧表は全部で7ページほどあります。
内容は、次の(1)一般情報~(9)健康毒性情報までに分かれています。
|
(6)<一覧表の詳しい説明>
上の内容を、さらに詳しく説明いたします。
(1).一般情報 | ||
■ | 一般情報 | |
(2).暴露情報 | ||
■ | 製造・輸入量-化審法監視化学物質届出結果 | |
■ | 製造・輸入量-経済産業省実態調査結果 | |
■ | PRTR(ピーアールティーアール)-排出・移動量 (2009年度把握分まで) | |
■ | 環境省環境調査結果 | |
■ | 用途 | |
(3).国内法規制情報 | ||
■ | 化審法 | |
■ | 化審法既存化学物質安全性(分解性・濃縮性)点検結果 | |
■ | 化審法既存化学物質安全性(毒性)点検 | |
■ | 化学物質排出把握管理促進法(MSDS制度対象) | |
■ | 化学物質排出把握管理促進法(MSDS制度対象) (2009年10月1日から施行) | |
■ | 毒物及び劇物取締法(MSDS制度対象) | |
■ | 労働安全衛生法(製造等が禁止されている物質) | |
■ | 労働安全衛生法(製造許可が必要な物質) | |
■ | 労働安全衛生法(表示の対象となる物質) | |
■ | 労働安全衛生法(MSDSの対象となる物質) | |
■ | 労働安全衛生法(変異原性点検) | |
■ | 化学兵器禁止法 | |
■ | オゾン層保護法 | |
■ | 大気汚染防止法 | |
■ | 水質汚濁防止法 | |
■ | 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律 | |
(4).各国インベントリ(リスト)規制等情報 | ||
■ | 国連番号・分類 | |
■ | 欧州商業用既存化学物質名簿(EINECS) | |
■ | REACH(リーチ)高懸念物質(SVHC)候補リスト | |
■ | 米国有害物質規制法(TSCA:トスカ)既存化学物質名簿/重要新規利用規則(SNUR)/有害な化学物質及び混合物の規制 | |
■ | OECD/高生産量化学物質(HPV chemicals)点検計画 | |
■ | POPs(ストックホルム)条約/残留性有機汚染物質 | |
■ | PIC(ロッテルダム)条約 | |
(5).海外PRTR情報 | ||
■ | アメリカ TRI | |
■ | カナダ NPRI | |
■ | イギリス PI | |
■ | オーストラリア NPI | |
■ | EU-PRTR | |
■ | 韓国 TRI | |
■ | オランダ | |
(6).各国有害性評価情報 | ||
■ | GHS(ジィーエッチエス) 関係各省による分類結果 | |
■ | 化学物質安全性(ハザード)評価シート | |
■ | 有害性評価書/初期リスク評価書 | |
■ | 環境省化学物質の環境リスク初期評価 | |
■ | ATSDR Toxicological Profiles ~米国有害物質・疾病登録局による毒性評価 | |
■ | BUA-Report ~GDCh(ドイツ化学会)諮問委員会によるリスク評価書 | |
■ | CEPA-PSAP (Priority Substances Assessment Program) ~カナダ環境保護法にもとづく優先化学物質評価計画によるリスク評価書 | |
■ | CICADs (Concise International CHemical Assessment Documents) ~IPCS (国際化学物質安全性計画)による国際簡潔評価文書 | |
■ | EHC (Environmental Health Criteria) ~IPCS(国際化学物質安全性計画)による環境及び健康影響に関する評価文書 | |
■ | EU-RAR (EU-Risk Assessment Report) ~欧州連合によるリスク評価書 | |
■ | ICSC (International Chemical Safety Cards) ~IPCS(国際化学物質安全性計画)による国際化学物質安全性カード | |
■ | PEC Assessment Reports ~オーストラリアNICNAS(工業化学品(届出・審査)制度当局)によるリスク評価書 | |
■ | NTP(National Toxicology Program) Technical Report ~NTP(米国国家毒性計画)長期試験レポート | |
(7).物理化学性状情報 | ||
■ | 物理化学性状情報 | |
(8).環境毒性情報 | ||
■ | 環境省生態毒性試験結果 | |
(9).健康毒性情報 | ||
■ | 日本産業衛生学会-作業環境許容濃度・発がん性評価 | |
■ | ACGIH-作業環境許容濃度・発がん性評価 | |
■ | 発がん性評価 | |
■ | 経済産業省による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(OECD-TG422) | |
■ | NITE安全性試験 | |
■ | 内分泌かく乱作用に関する試験結果及び有害性評価書 (経済産業省内分泌かく乱作用検討小委員会) |
(7)<まとめ>
化学物質の安全性に関する内容は、1物質についても膨大な内容になっています。
それと、化学物質で、まったくの無害なものはありません。
量にもよりますが、大量に摂取すれば何らかの害があります。
用途、使われかたによって被ばく(人がそれに接触する)の程度も異なります。
化学物質があることによって利便性(りべんせい)が増す場合はいくらかの危険性は我慢する必要があると考えられています。
なにかを得るためには、なにかの危険性を受け入れる必要があります。
例として、車を考えますと、交通事故で毎年数千人の人が亡くなっています。
怪我をする人は数万単位でいます。交通事故を無くすために車を全部廃止すると言う考えかたもあります。ただし、そのことによる不便さは相当なものです。
経済活動は縮小されますし、楽しみも減ります。
どこまでのリスクを我慢するかは、その時の社会の合意によるものだと思います。
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