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第21回目

第21回「プラスチックの見分け方(赤外分析)」について1

◆今回のテーマは、「プラスチックの見分け方(赤外分析)」について1 です。

「プラスチックの見分け方(赤外分析:せきがいぶんせき)」について1

今回はプラスチックの見分け方について説明いたします。
プラスチックは身近な所にいろいろと使われています。
ただし、そのプラスチックがどんな種類のプラスチックかを気にすることはほとんど無いと思います。
商品開発をする時や、他社の製品に使われているプラスチックの種類を知りたい場合や、廃棄の分別する時にプラスチックの種類を知りたいと思うことがあります。

プラスチックの見分けかたで、最も一般的に使われる分析機器は赤外分析(IR インフラレッド)と言われるものです。
この分析器で分析しますと、何のプラスチックかが分かります。

赤外分析では、単にプラスチックの種類が分かるだけでなく、その中に入っている可塑剤(かそざい)の種類や、安定剤の種類、顔料の種類等も調べることができます。
また、プラスチック以外にも接着剤の成分分析、塗料の成分分析等もできます。

下の写真は一般的な赤外分析装置の写真です。
一番右側にあるのが、赤外線が透過できるサンプルの分析機で、
中央は赤外線を透過できないサンプルを測定する反射測定装置です。
左側はコンピューターで、分析機の測定の設定をしたり、チャートを書かせたり、測定したチャートと標準試料のチャートを比べたりするものです。
それでは、まずプラスチックの種類について説明します。

<プラスチックの種類>
プラスチックの種類にはどのような物があるのでしょうか。
プラスチックは大きく分けて、2つに分類されます。

1,熱可塑性プラスチック(熱可塑性樹脂)
<例>チョコレートのようなもの
これは一般的なプラスチックで、普通にプラスチックと言われるものです。
熱可塑性とは、熱を加える(温度を上げる)と溶けるものです。
ポリエチレン、ポリプロピレン(PP),塩ビ、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステル(ペット等)、アクリルなどです。

2,熱硬化性プラスチック(熱硬化性樹脂)
<例>ビスケットや卵焼きのようなもの
これはあまりプラスチックとは意識されませんが、代表的な物は鍋のふたの上に付いている黒い持つところです。これはフェニール樹脂と言われます。
次に、デコラと言ってコタツの天板に使われている化粧板(メラミン樹脂)などがあります。
これは熱硬化性と言われるように、熱を加えて(温度を上げる)も溶け出しません。

なぜ、このようにプラスチックと言ってもいろいろと性質が違っているのでしょうか。


<プラスチックの性質の違い>
金属は非常になじみのある材料だと思います。金属の代表的な物は鉄です。
これ以外にも、アルミ、銅、亜鉛、チタン、金、銀、スズなどがあります。
同じ金属と言っても重さが違うし、硬さも違います。また値段も相当違います。
これと同じように、プラスチックもいろいろと種類があり、それぞれの性質も違います。
水に沈むものもあれば、浮く物もあります。透明な物もあれば不透明な物もあります。
また、軟らかい物もあれば、硬い物もあります。

<プラスチックの性質の違いは何か>
プラスチックは上に書きましたように、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP),塩ビ、ポリスチレン、ナイロン、ポリエステル(ペット等)、アクリルなどがあります。
これらは、プラスチックの材料が違うために名前が違い、性質(物性と言います)も違います。

今回は、熱可塑性のプラスチックにつきまして、もう少し詳しく説明します。

<プラスチックの分子構造(プラスチックの材料)>
プラスチックの性質の違いは、その分子構造が違うからです。
下記に、代表的なプラスチックの分子式を示します。


上記の様に、プラスチックの種類によって、分子式(原子の結合のしかた)が違います。

<赤外分析でなぜプラスチックの種類がわかるのか>
上記のプラスチックの分子構造で赤丸を付けたところを見ていただくと、特徴的な原子の結合が見られます。
プラスチックに赤外線を当てますと、各特徴的な構造により吸収される赤外線の波長が違います。
逆に、赤外分析のチャート(吸収のされた様子を記録したもの)を見て、その吸収パターンからどんな構造式かを推定して、プラスチックの種類を決めて行きます。
赤外線は英語で(Infra Red : インフラ レッド)と言います。
それで、赤外分析器の事をIR分析器と言います。
インフラとは、なになにの外と言う意味で、言葉どうり赤外線になります。
最近は赤外分析の中でも、フーリエ変換赤外分析が増えてきています。
これを、FT-IR(エフティーアイアール)と言っています。

<赤外線とはどんな光か>

各光の波長の関係
各光の波長の関係

赤外線とは言葉どうり可視光線(眼で見える光線)の赤色の外側の光線と言うことです。
もちろん、赤外線は眼では見えません。赤外線こたつの赤外線は眼には見えませんが照射しているかどうかが分かるために赤色の可視光線も一緒に出しています。
こたつの例のように、赤外線が当たると暖かく感じます。これは赤外線が分子の振動を盛んにするからです。
分子の振動が激しくなることを、温度が高くなると言います。

<赤外分析のチャート>
下に、ポリエチレン(PE)の赤外チャートを載せています。
横軸は波長(赤外線の波の長さ)ではなく、1cm当たりの波の数(周波数)です。
単位はcm-1(カイザーと読みます)です。
1cm当たりに何個の波の数があるかを表したものです。
数字が大きいほどエネルギーが高くなります。
このチャートでは左端が4000cm-1(カイザー)でエネルギーが最も高く、右端は400cm-1(カイザー)で最もエネルギーが低い。
縦軸は透過率で、当てた光のうち何%通過したかを表しています。
下側に、谷のようになっているところが赤外線を吸収した所です。
この谷の位置(横軸のカイザーの数字)で、そのプラスチックの原子の状態が分かります。

赤外分析チャート
赤外分析チャート

<分子の振動>
プラスチック製品はミクロ(非常に細かく見る)で観察すると、振動しています。
原子と原子の間が伸びたり縮んだりしています。また、原子と原子の結合している角度も大きくなったり、小さくなったり変化しています。

 

この伸縮や角度変化の振動数は決まっていて、この振動数に一致した赤外線の特定の波長のみを吸収します。
逆に、ある振動数(カイザー)の吸収があれば、それを吸収する伸縮や角度変化をしている物が中にあることがわかります。
伸縮のエネルギーレベルは高く、一方、角度変化のエネルギーレベルは低いので、伸縮による吸収ピークはチャートの左側(1500カイザー以上)に現われます。
一方角度変化はチャートの右側のエネルギーの低い所(1500カイザー以下)に現われます。

<赤外チャートの見方>
上のポリエチレン(PE)のチャートを見てもらいますと、3000カイザーの手前に大きな(谷)が2本あります。これは、ポリエチレンのC-H結合の伸縮による吸収ピークです。
このピークほとんどのプラスチックにはC-H結合がありますので、ほとんどのプラスチックの赤外チャートにこのピークが見られます。
次に、1500カイザーの手前のピークですが、これは、C-CとC-Hとの角度変化によるものです。
同じく、750カイザー付近の吸収も角度変化によるものです。
今回のチャートからは以上の3種類のピークしか出ていなかったので、ポリエチレン(PE)と確認できました。

<特徴的な分子構造の吸収ピーク>
伸縮運動の吸収ピーク(振動数:カイザー)
  C - H  結合
3000
カイザー
  C - C  結合
1000
カイザー
  C - Cl  結合
700
カイザー
結合原子の分子量が大きくなるほど、動きにくいので振動エネルギーは小さくなり、
吸収ピークの振動数(カイザー)は小さくなります。
       
  C - C  一重結合
1000
カイザー
  C = C  二重結合
1640
カイザー
  C 三 C  三重結合
2200
カイザー
一重結合より、二重結合の方が結合力が強いので、吸収ピークの振動数は
大きくなり、三重結合はさらに吸収ピークの振動数は大きくなる。
そのため、ピークはチャートのより左側に出る。

<まとめ>
以上説明いたしましたように、赤外分析器を使いますと、比較的簡単にプラスチックの種類が分かります。
赤外分析で分析できる物はプラスチック以外(固体)にも液体や気体も測定できます。
また、測定時間も短く(測定だけでは数分間)手軽なので、有機物(燃えるもの)の分析には一番多く使われます。
ただし、分析する物が純粋な物であればピークの数が少なくて分析が簡単ですが、プラスチックの中に、可塑剤とか安定剤とか顔料などが入っている場合はこれらのピークも出てくるので、解釈が難しくなってきます。
試料によりましては、測定する前に寸法を揃えたり、粉にしたりとか前処理がいります。
この前処理には経験と技術がいります。

 

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