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第7回目

第7回「品質工学」(タグチメソッド)について 1

◆今回のテーマは少し固い内容で、「品質工学」について簡単にご紹介させてもらいます。

品質工学(タグチメソッド) 1

品質工学と言う言葉を初めて聞かれた方も多いと思います。
私は5,6年前に品質管理関係の本を読んでいて初めて知りました。
商品の試験関係の事で色々と調べている内にこの言葉に出会いました。

品質工学は広い意味では品質管理の中に入りますが、今までの通常の品質管理では出てきません。
今までの品質管理との関係はどのようになるかと言いますと次のような関係になります。


◇<品質管理と品質工学との関係>

1) 品質管理  →  流失対策(品質の悪い物を出さない)

2) 品質工学  →  源流対策(品質の悪い物を設計しない)

以上が品質管理と品質工学との違いです。

それでは、品質工学についてもう少し詳しく説明します。


◇<品質工学のねらい>

品質工学では、次の3つの課題を解決しようとします。
   低コスト化   … ばらつきを小さくする
   クレーム問題  … 安定性の確保
   開発速度   … 頑健性(がんけんせい):ロバストネス
以上の考え方で、これらの要素を同時に解決することを目指しています。


◇<品質工学利用の成功例の1つ>

1) 伊奈製陶(INAX)のタイルの製造
 タイルの製造は材料を配合して、型に入れた後、トンネル釜で焼き固めて作るが、焼いた後の製品の寸法、ツヤ、反りなどに問題点があった。これを解決するのに、釜の中の温度分布を変えずに、 材料の成分を変える事で解決した。この時に品質工学を活用して、短時間で問題解決にこぎつけた。


◇<品質工学の成り立ち>

品質工学は日本で始まった考え方です。そして、アメリカにこの手法が渡りアメリカで非常な成果をあげて、日本に逆輸入されました。最近は日本でも盛んに活用される様になりました。
アメリカでは、自動車工業で利用され、大きな成果をだしました。
また、コンピューター関係、家電関係でも盛んに使われてます。

この考え方を考えたのは、元青山学院大学教授の田口玄一(たぐち げんいち)と言う方です。(アメリカではタグチメソッドと言われます)
1997年に、アメリカの自動車殿堂入りをされました。アメリカの方が有名な方です。アメリカの自動車殿堂入りし日本人は本田宗一郎、豊田英二と田口玄一の3人です。


◇<品質工学の考えかた>
1) 品質工学では、品質を「損失」と定義しています。詳しく説明すると、「品質とは、品物が出荷後社会に与える損失である。ただし機能による損失を除く」と定義しています。
ただし、損失が少ない方が良いと考えています。
これは画期的な考えかたです。
損失なので、金額であらわされ、定量的にとらえられます。
いままででは、品質は定性的で抽象的なのでなかなか客観的にとらえられなかったので、その点が非常に優れています。
2) 品質工学のアプローチ方法
 商品、技術をシステムとしてとらえる(パラメーター設計)
     入力と出力の関係を調べる。

使う手法としては、以下のものが中心です。
(1)損失関数
(2)SN比による評価(エスエヌひ)
(3)直交表の利用(ちょくこうひょう)

これらの詳しい説明は、少し難しくなるので今回は省かせてもらいます。
具体的な例で説明させていただきたいと思っています。


以上、品質工学の概略について説明させてもらいました。
品質工学はうまく使えば商品の開発に非常に有効だと感じられたと思います。

最後に、本に載っていた文章を紹介いたします。
ある複写機の技術者は「紙を送る技術は以外に難しいが、品質工学を活用して温度や湿度に強いシステムに成功した。これらの技術は中国では真似が出来ないので参入は難しい」と胸を張っていた。

KTRでは、まだ品質工学を理解して使いこなせるところまでは行っておりませんが、もう少し学習して活用して行きたいと考えています。
品質工学をうまく活用して、皆様方のお役に立たちたいと考えています。

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